ガマの油売り口上、山あり谷あり うねりあり
目と目をつないで話す
ガマの油売り口上は聴き手の(心の動きの)変化に適切に対応する修正の連続である。その変化を見きわめるためには、どうしても、目を聴き手に向けて話さなければならない。
聴き手に目を向けていれば、うなずきや目の色あいで、積極的に参加しているかどうかが分る。聴き手の気分は、最初から終わりまで一定ではない。次に予定している行動を考えていとか、単調な話し方に飽きているかもしれない。
聴き手の気分は流動的である。このため、口上を演ずる場合、聴き手の全員に話しかけていることを目で知らせるアイコンタクトが必要になってくる。目は、5、6名のブロックを一つの単位として、その中の中心になる人の目と自分の目をつなげるとよい。
目が向くと、聴き手も自分に話してくれていると感じて親近感をもつようになる。また、聴き手の動きにすぐ対応できる。目と目をつないで話すことが大切である。
声を発する部分と声を発しない部分の組合せ
話というのは、音声を発してことばをしゃべるものであるが、その中にしゃべらない無声の部分がある。話というのは、音声で語ることばと沈黙の部分とが一対で成り立っている。ことばを音声にして並べるけでは単調なものになってしまう。
間とは、聴き手との間にかわされる“呼吸”であり、それを調和させる沈黙の時間である。間をとる場合、目を聴き手に向け、その無声の反応に正しく応えていくことが大切である。これがズレていると、聴き手は、口上士が自己の口上演技に陶酔しているように感じる。口上を述べるときは、間をおいて有声と無声の話がかみ合うように聴き手に語りかけることが大切である。
たまには掛け合い、質問を投げかけて参加させる
ガマの油売り口上を演ずるとき、気をつけていても、一方的にすすめられがちである。
口上士が勝手にどんどん述べると、今は使われない文言が随所に出てくるので聴き手は何がなんだか分らないうち終ってしまう。聴き手の反応を見ながら口上を演ずる。このためには口を大きく開け、間をおき、ゆっくり語りかけることだ。
ときには質問を投げかけて聴き手に口上に参加させるようにする。「どうですか、分りましたか」と聴き手に投げかければ、内容を理解しているかチェックし、受け身の聞き手を能動的な聴き手に変えることがでる。
聴き手を口上に参加させる効果をねらうなら掛け合いがいい。口上士と聴き手が“分担”して演ずると、聴き手に与える印象が一層強くなる。
全力で演ずる
声や動作の高低・強弱や大小など山や谷があって、力強い向上は印象に残る。メリハリのある口調や声の響きが違ってくる。ジェスチャーで、指示、大小・数量、動作、位置・方向、形など言葉だけでは理解しにくいものを補うと口上が具体的になり、単調さもなくなる。聴き手の気分は流動的である。その時々の口上を全力で演ずることだ。
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