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Channel: ふるさとは誰にもある。そこには先人の足跡、伝承されたものがある。つくばには ガマの油売り口上がある。
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ガマの油売り口上、インパクトが強い“接近戦”、直談判が人を動かす

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                インパクトが強い“接近戦”  

ガマの油売り口上、インパクトが強い“接近戦”、直談判が人を動かす  
 がまの油売り口上の実演に力が入るか否かは、観客の多寡やその反応に、多分に影響を受ける。ゴールデンウイークや秋の行楽シーズンなど老若男女、家族連れなど多くの人で賑わうときの実演は、観客の熱いまなざしに応え演技に力が入る。 

 演技に観客の気持ちがのってくる。と同時に口上士もその観客の熱いまなざしに応えて、演技に力がはいる。反対に同じ場所で演技をしても、観客が一人か二人といった閑散場合は、なんとなく醒めた雰囲気が漂う。 観客が口上士を“動かしている”からである。

 人が目の前にいる、ということが、人の気持ちを動かす。人が人に衝撃を与える。どのようなときにこのインバクトが強くなり、相手の人を動かすことができるのだろうか。これをまとめたのが、「杜会的インパクトの理論」(Latane,B.,1981)である。 

それによると、インパクトImpの強さを決める要因として、 
 ●影響源の地位や社会的地位、つまり 強度 S
 ●影響源との空間的、時間的接近つまり 直接性 I  
 ●影響源の数 N  の3つである。
 個人が受ける社会的インパクト(Imp)はこれら3要素の相乗関数
    Imp=f(S×I×N) として定義される。    

影響源の強度  
 この「社会的インパクトの理論」の衝撃3要因は、照明と手元の明るさとの関係で説明できる。手元の明るさというのが衝撃の強さ、つまり実際に人を動かす力である。  

 影響源の強度は太陽の明るさに例えると、曇っているときの太陽よりも快晴の太陽の方が手元が明るくなる。つまり、影響源の強度が強ければ、それだけインパクトが大きくなり、より人を動かすことができる。  

 権威を持っている人、社会的地位の高い人、他を圧倒する実力を持つ人、魅力的な人などは、そうでない人よりも相手の人を強く動かすことができる。強い”パワー”、カリスマ性がある人は、人を強く動かすことができる。  

直接性    
 太陽の光が強くても、日没、夜間と太陽が没してしまえば、新聞は読めなくなる。太陽が没しても、ろうそくの光で手元を照らせば新聞が読める。このように、強い力やカリスマ性が無くても、相手にぴったりとつき、面と向かい、行動すれば、相手へのインパクトは、強力なパワーを持っている人に劣らず強い衝撃を与える。

 人にものを頼むとき電話でお願いするよりも、一対一で直談判したほうが、相手に対するインパクトは強い。人が自分の考えや意思を相手に伝えるには、相手との目の距離が30cm~50cmの間になった時が、もっともよく伝わるようである。そして、そのときの条件としては、いつもの半分の声で話すことである。

 観客との距離を調整しながら演技をすることが、相手を制する。さらに、相手に触れる、触れさせるという最接近の方法も衝撃的方法の一つである。 

      四六のガマだよ! 四六のガマ!  

     
     (赤い血が)ぴたりと止まった! 
 
     
        ごらんの通り! 


影響源の数  
 60ワットの電球でも3つけると180ワットになり、100ワットの電球一つよりも手元が明るくなる。たとえ、一人一人は強力な影響源でなくても、数が集まると、トータルで大きな影響源となり、強いインパクトを与える。

 がまの油売り口上を演技するのは口上士一人であるので逆説的な話になるが、 観客が多くなればなるほど口上士の演技に熱が入る。“影響源”として存在する観客の“数”が口上士を動かし迫真の演技を迫るからである。 

      迫真の演技がインパクトを与える 

 
 「杜会的インパクトの理論」から人を動かすためには、強いパワーをもち、相手の人に近づき、できるだけ大勢で、直接、接することが有効であることが分かる。
 つまり、口上を演じ観客(の心)を強く “動かす” ためには、気迫充溢、自信満々で、観客に近づき、直接、訴えるような演技が有効であるといえる。  

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