ガマの油売り口上保存会の設立
平成11年の夏、地元有志が、つくば市のみならず茨城県の伝承芸能の愛好者のすそを広げて後継春の指導・育成のため定例的な研修や情報交換の実施し技能の継承と地元の観光の活性化に貢献するため保存会を結成した。
がまの油売り口上は、つくば市の無形民俗文化財
民俗とは、風俗や習慣、伝説、民話、歌謡、生活用具、家屋など古くから民間で伝承されてきた有形、無形の人間の営みの中で伝承されてきた事象であり、人間の生活には、誕生から、育児、結婚、死に至るまでさまざまな儀式が伴っている。こうした通過儀礼とは別に、普段の衣食住や祭礼などの中にもさまざまな習俗、習慣、しきたりがある。
民間の風俗・習慣・信仰に根ざして伝承されてきた芸能は、郷土芸能ともいわれ、祭礼・法会などに伴うものが多い。その土地の風土や歴史を反映しており、それぞれの地域文化のなかで大事な役割をはたしてきた。農村,漁村,都市の祭りや寺社の行事という形で,人々の生活,習俗,信仰と深く結びついており,一般の人によって演じられることが多く,通常,興行形態はとらない。戦後、町おこしのため再興された筑波山がまの油売り口上は筑波の町の民俗芸能である。
つくば市の文化財保護条例第2条によると、「文化財」は、(1)「有形文化財」、(2)「無形文化財」、(3)「民俗文化財」、(4)「記念物」に分類にされている。
筑波山ガマの油売り口上は、第2条(3)で『民俗文化財』」と認定された芸能である。「民俗文化財」とは、「 (3) 衣食住,生業,信仰,年中行事等に関する風俗慣習,民俗芸能,民俗技術及びこれらに用いられる衣服,器具,家屋その他の物件で市民の生活の推移の理解のため欠くことのできないもの 」である。 *
平成25年1月、筑波山がまの油売り口上は、つくば市認定地域無形文化財に認定された。
【筑波山ガマの油売り口上は、民俗文化財】
無形芸能、「名人」が技芸継承の核心
がまの油売り口上保存会は、伝承芸能として愛好者のすその広げ、後継者の指導、育成はかるため定例的な研修及び情報交換等に努めている。国の文化財保護法の“伝承者の養成”についての考え方は、民俗芸能・がまの油売り口上についても準用される。
技芸の継承のためにはそれぞれが技芸の練磨工場に勤め、その中で「名人」と同等のレベル以上の技芸等を有する者が次の「名人」を襲名することになる。この過程において「名人」の技芸等が会員に伝播されることが極めて重要であって、「名人」は自己の技量の練磨向上に努めるだけでなく他会員の練磨向上の「範」でなければならない。
「名人」が技芸継承の核心
技芸の伝承は図にすると下図のようイメージだろうか。
地元観光の活性化に貢献
「ガマの油売り口上」は、筑波山観光の目玉である。したがって、名人の襲名式に市長ほか観光業に関係する人々が出席して執行され、観光コンベンション協会事務局長から認定書が授与される。このため、一般会員が筑波山神社などで観光客を前に口上を演ずるのは当然であるが、枢要な公開の場は「名人」の出番であり、それこそ真価を思う存分発揮すべきである。「名人」の演技は筑波山観光の目玉でなければならない。
名人の演技は筑波山観光の「目玉」!
ノブレス・オブリージュ(仏: noblesse oblige)!
保存会会員の心構え
口上保存会の会員は実演に際しては、「筑波山ガマの油売り口上」がつくば市の貴重な財産であることを自覚し、口から出る文言、技や技、刀の扱い方及び衣装等「文化財」として相応しいものでなければならない。
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