筑波山は“火山”ではないから安全な山
筑波山は高い山ではないが古くから「西の富士、東の筑波」 と言われ1200年前に作られた万葉集にも数多く詠み込まれている。西側の男体山(871m)と東側の女体山(877m)の二つの峰から成り立ち、その姿の美しさから紫峰とも呼ばれ日本百名山のひとつに数えられている。 火山ではないから噴火しないが、岩石でできた山なので土石流が発生した過去がある。
〔山頂の斑レイ岩〕
筑波山は,地下深くでマグマが固化してできた花崗岩と斑レイ岩の岩体が隆起したもので,標高ほぼ600m以上は侵食に抵抗する硬い斑レイ岩からなり,急傾斜の山頂部を構成している。
山頂付近は斑レイ岩でできている。斑レイ岩は風化に強く風雨で削りにくいので、周辺より高い山頂を形成している。
斑レイ岩は一般に黒っぽい色をした深成岩の一種で筑波山の斑レイ岩は、約7千5百年前に地価10kmの深さでマグマがゆっくり冷却して出来たものである。
これが後に隆起し上に乗っていた岩石が削られると、上から抑えれていた力が抜けるため節理(割れ目)がこのような奇岩の景色を形成した。
〔山腹の花崗岩〕
筑波山の山腹、梅林には巨岩がごろごろしているがこの巨石は斑レイ岩である。山頂風金の斑レイ岩二は節理が見えるが、この節理で大きく割れて大岩が出来る。この大岩が何百年に一度に起こる土石流で流れ下って緩やかな斜面を形成した。
〔裾野の巨礫〕
筑波山神社化裾野にかけて緩やかな傾斜に成っている。この緩やかな傾斜地は土石流がたまってできたところである。
土石流は、近年では1938(昭和13)年7月の集中豪雨、1947(昭和22)年9月のカスリーン台風、1979(昭和54)年10月の大風20号で起きている。
危険な渓流は,谷底の勾配が15°以上の区間が長く,そこに多くの土砂が堆積している谷である。筑波山では土石流危険渓流に指定されているが、それぞれの谷の流域面積は小さくまた一般に谷は浅いので,土石流が起きても土砂量は多くはならず,その危険はあまり大きくはないといわれている。
筑波山はその成り起ちから地下深くで冷却して出来た団体が隆起してできた山であるので“噴火”しない山である。こういう意味では安全な山であるが、集中豪雨が土石流を発生させた過去がある山である。今年のように異常気象で記録的な豪雨が予想される時の登山は避けたほうが無難のようだ。
つくば市の土砂災害警戒区域等指定箇所
つくば市(茎崎町を除く)で土砂災害警戒区域等に指定されている危険な地域は、21か所である。その内、筑波山の「急傾斜地の崩壊」と指定された箇所は、女体山、男女川流域とつくば市筑波の東山の3か所である。
〔女体山〕 *
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〔男女川流域〕
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〔つくば市筑波、東山〕
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【急傾斜地崩壊危険個所】
傾斜度30度以上、高さ5m以上の急傾斜地で、その斜面が崩れた場合に被害が出ると予想される区域内に、人家が1戸以上(人家がなくても官公署、学校、病院、駅、旅館等のある場合を含む)ある箇所及び人家はないが今後新規の住宅立地等が見込まれる箇所を「急傾斜地崩壊危険個所」としている。
〔関連記事〕
筑波山は噴火しない山 その形成と岩石
〔参考資料等〕
地質標本館 『筑波山地質見学ガイド』
筑波環境フォーラム 『筑波山の自然観察』
筑波エキスプレス 『筑波山MAP』
茨城県 『水郷筑波国定公園 筑波山ガイドマップ』
茨城県のHP 「土砂災害警戒区域等指定箇所【つくば市(急傾斜)】」